【ロッドメンテナンス】トップガイドのSiCリングが破損したので自分でSiCリングを交換しました!

【ロッドメンテナンス】トップガイドのSiCリングが破損したので自分でSiCリングを交換しました!

最終更新日
2020年03月25日 13:51:26
公開日
2019年03月28日 18:13:48
カテゴリー
スタッフ雑記

ロッドの先端にあるトップガイドはキャスト時や移動時にブツけてしまって破損する危険を孕んでいます…
先日の釣行でキャスト時に柵にトップガイドをブツけてしまいトップガイドに付いているSiCリングが外れてしまいました…
修理に出すしか無いと思ったんですが意外と簡単に自分で修理出来たので紹介したいと思います!

  1. なぜ買って2ヶ月しか経ってないロッドのトップガイドのSiCリングが破損したのか!
  2. トップガイドの修理には様々な選択肢があります!
    1. 第一ロッド(ティップセクション #1)交換
    2. メーカー修理にてトップガイド交換
    3. 修理専門店にてトップガイド交換
    4. 自分でトップガイド交換
    5. 自分でトップガイドリング交換
  3. メーカーサイトにてロッドのトップガイドの規格(サイズ)を調べて新しいトップガイドを入手する
  4. 入手した新しいトップガイドからSiCリングを取り出す
  5. 取り出したSiCリングを既存のトップガイドフレームに取り付ける
  6. SiCリングをエポキシ樹脂で固定する
  7. SiCリング修理後の実釣
    1. SiCリング修理後から約1年を経て
  8. あると便利なグッズ紹介
  9. まとめ

このページで紹介する修理方法は自己責任となります!
ガイドやブランクスの破損の可能性もあるので不安な方はメーカーや修理専門店で修理を依頼しましょう!

なぜ買って2ヶ月しか経ってないロッドのトップガイドのSiCリングが破損したのか!

前回の中川釣行でSiCリングが取れてしまったトップガイド…
前回の中川釣行でSiCリングが取れてしまったトップガイド…

前回の釣行“【中川シーバス 2019年3月中旬】気候もだいぶ春らしくなった中川でランガンシーバス釣行!”にて岸壁の際にルアーをキャストした際にトップガイドがカツンと柵にあたってしまいSiCリングが割れて綺麗に無くなっていました…
SHIMANO EXSENCE GENOS S96M/R Grand Stinger 96を購入してからまだ2ヶ月…
明らかに自分に非があるのでメーカー保証で交換してもらうことも出来ないのでどう修理するか…
翌週は連休もあり、このロッドを絶対に使いたいので時間がかからない方法で直すしかない…

幸いガイドフレームに変形や破損がなかったのが救いです…

柵にぶつけなければいいでし…

前にも書きましたがこれがバットガイドのXガイド エアロチタンじゃなくて良かったです…
Xガイドならパーツ代だけで7,150円…

グッバイ諭吉さんコース…

ちなみにネットでいろいろ調べてたんですが結構トップガイド破損してる方々がいっぱいいて驚きました…

トップガイドの修理には様々な選択肢があります!

トップガイド(SiCリング)の修理には様々な選択肢があります。
もしトップガイドの修理を考えている方は、仕上がりや料金、期間など下記を参考にしてみて下さい。

トップガイドリング修理方法比較表
修理方法 修理期間 仕上がり 価格 難易度
第一ロッド(ティップセクション #1)交換 約1ヶ月 新品 高い 低い
メーカー修理にて
トップガイド交換
1ヶ月以上 綺麗 高め 低い
修理専門店にて
トップガイド交換
1ヶ月くらい 綺麗 普通 低い
自分で
トップガイド交換
最低2日 綺麗に仕上げるには
要経験
道具から購入だと
高い
高い
自分で
トップガイドリング交換
最低2日 ある程度綺麗 安い 低め
※店舗や時期、混雑状況などで変動

第一ロッド(ティップセクション #1)交換

もしトップガイドに限らず、自分に非がなく、ロッドが破損した場合でメーカー保証期間内であればロッドを交換してもらいましょう!
自分に非があったり、メーカー保証が切れてしまった場合でもメーカーに在庫があれば該当パーツ(今回の場合は第一ロッド(ティップ側 ティップセクション #1))を注文も出来ます。
仕上がりにこだわる方や、これを機に新しくしたい方、修理不可状態の場合にオススメします。
シマノさんの注文方法はパーツの取り寄せ方法(シマノ)を参考にして下さい。

ちなみにSHIMANO EXSENCE GENOS S96M/R Grand Stinger 96の第一ロッド(ティップ側 ティップセクション #1)は27,200円になります!

グッバイ3人の諭吉さんコース…

メーカー修理にてトップガイド交換

ロッドを作ったメーカーさんに修理してもらう方法です。
メーカーによっては修理専門の部署や関連会社などがあり、メーカーならではの知識と経験で修理してくれます。
大まかな流れとして釣具店 → メーカー → 見積もり → 修理 → 釣具店という流れがあるので時間に余裕がある場合にオススメします。
メーカーによっては個人から直接メーカー修理窓口に修理依頼出来る場合があります。
ただし、別途で発送料や梱包の手間などがかかります。

仕上がりにこだわりたくて時間に余裕がある場合にいいですね!

修理専門店にてトップガイド交換

修理専門店または工房がある釣具店にてトップガイド交換してもらう方法です。
ただし、お店や担当者などによって技術や工賃などバラバラなので依頼する前に評判などをチェックしてから依頼しましょう!
依頼する場合は価格や仕上がりなどしっかり確認して上で依頼しましょう!
修理専門店が近くにある場合は検討してみて下さい。

お店によっては市販されている簡易修理キットでの修理なんてこともあるみたいですね…

自分でトップガイド交換

ガイド交換には様々な工程があり、繊細な作業も多いので綺麗に仕上げるには技術を要する一番難易度の高い修理方法です。
修理するには様々な道具も必要になるのでコストがかかってしまいます。
ただし、自分でガイド交換出来るようになればスレッドの装飾を変えたり、ガイド素材、ガイド位置の変更なども出来るようになります。

もし興味がある方はガイドを作ってる富士工業さんのStep by step rod buildingを見て頂ければロッドクラフトのいろいろが載っているので参考になると思います!

自分でトップガイドリング交換

ガイドフレームの破損もなく同じガイドリングが手に入るのであれば、自分で比較的手軽に短時間で修理出来る方法です。
ただし、ガイドリングのみの販売は行っていないのでちょっとした工夫が必要です!

工夫ってなんでしか!

今回は修理に時間をかけたくないので自分でトップガイドリングを交換することにしました!
工夫に関してはこの後に出てきますよ!

メーカーサイトにてロッドのトップガイドの規格(サイズ)を調べて新しいトップガイドを入手する

まずは自分でガイドリング修理の準備として破損したロッドのトップガイドの規格(サイズ)を調べます。
シマノさんであればパーツ価格表ページ内の“ロッド”の中から自分のロッドを探してみて下さい。
ちなみにダイワさんの場合はこちらダイワパーツ検索システム

SHIMANO EXSENCE GENOS S96M/R Grand Stinger 96であればパーツ表の中にある部品番号:0020の“T-KGST6-1.6”がトップガイドになります。

メーカーさんのサイトにそんなページがあったんでしな!

出先でもスマホで簡単に調べられるので助かりますね!

釣具屋で購入した富士工業さんのチタンフレーム トップガイド T-KGST6-1.6

ガイドは大きめの釣具屋さんに売っているので同じ規格(サイズ)のものを探して購入して下さい。
ガイドは素材やサイズなど様々な種類がたくさんあるので間違えないように注意して下さい。

新しいトップガイドを購入って結局トップガイドごと交換するでしか?

あくまでも必要なのはガイドリングのみです!
続いては“工夫”の全貌が明らかになります!

入手した新しいトップガイドからSiCリングを取り出す

ここからは新しいトップガイドからSiCリングを取り出す工程です。

取り出すってどうやってやるでし?
いつもの破壊でしか?

破壊もいいですが相手はチタンですよ!
下手すると工具の方が壊れちゃいます!

じゃあどうやって取り出すでし…

ほんとは加工しやすいステンレスフレームで同じ規格のガイドを見てみたんですが明らかにSiCリングの厚みが違ったので…
チタンフレームと戦わずして取り出す方法を考えないとですね…

ということでチタンフレームに手を付けずに簡単にSiCリングを外す方法を考えました。
おそらくチタンフレームとSiCリングの接着はエポキシ樹脂(ガイドのスレッドにも使われています)。
エポキシ樹脂は高温になると柔らかくなる性質があるのでライターでガイドのパイプ部分(ブランクスを挿すパイプ)を炙ってみたいと思います!

ガイドを炙ると高温で火傷する可能性があるのでペンチなどでガイドを摘んでから炙って下さい。

矢印で指した部分をターボライターで炙ります!
矢印で指した部分をターボライターで炙ります!

工夫ってライターで炙る事だったんでしな!?

ところが…
名案だと思ったんですがパイプ部分が赤くなるくらいまで炙ってもSiCリングがびくともしない…

えぇ〜
赤くなるってことは相当な温度になってるのにダメでしか…

後から気付いたんですがこのトップガイドのパイプ部分はステンレス製だったみたいですぐ赤くなったみたいです…
さらにチタンは20℃の時の熱伝導率が17W/mKで融点が1,675℃なのでパイプ部分を温めても時間がかかってしまう…

ちょっと何言ってるか解らないでしが…
ライターで炙ってガイドリング取り出す作戦は失敗でしか…

“失敗”の2文字が頭をよぎったんですがここである事を思い出したんです!

SiC(炭化ケイ素)はシリコン(ケイ素 元素記号:Si)と炭素(元素記号:C)で構成されるダイヤモンドの弟分のファインセラミックス

またちょっと何言ってるか解らないでしが…
どういう事でし?

つまりSiCは高硬度で耐熱性に優れているって事です!
融点が2,730℃なのでライターで軽く炙ったぐらいでは溶けないのです!

なるほど!?
で…どうするでし?

もうSiC部分を直接炙ってエポキシを燃やして焼き切っちゃいます!
そもそもPEラインの摩擦で発生する熱、スレに対応すべくSiCが使われているわけで…

ということで矢印部分をライターで炙ります!
ということで矢印部分をライターで炙ります!

エポキシが燃えて火が出るので火災に注意して下さい。
炙りすぎると高温でSiCが割れて飛んでくる可能性があるので注意して下さい。
また、焦げ臭くなるので換気をお忘れなく…

無事エポキシが焼き切れてポロッとSiCリングが取れました!
無事エポキシが焼き切れてポロッとSiCリングが取れました!

見事にSiCリングが取れましたよ!

上がSiCリングを取った後のトップガイド、下が新品のトップガイド 失敗してもいいように一応2つ買っておきました!
上がSiCリングを取った後のトップガイド、下が新品のトップガイド
失敗してもいいように一応2つ買っておきました!

取り出したSiCリングを既存のトップガイドフレームに取り付ける

まずは既存のトップガイドと新しいSiCリングを綺麗にします。
既存のトップガイドにSiCリングの残りがついてる場合は綺麗に取って下さい。
既存のトップガイドをライターで炙ってしまうとブランクスとの接着が不安定になるので避けて下さい!

ここまで来たら後は既存のトップガイドフレームに取り出したSiCリングを付けてエポキシ塗布して乾燥させて完成なんですが、ここでちょっとしたトラブルが…

またトラブルでしか…

新しいトップガイドフレームからSiCリングは矢印の方向(パイプのない方からパイプのある方へ)に取れました
新しいトップガイドフレームからSiCリングは矢印の方向(パイプのない方からパイプのある方へ)に取れました

当然、取った(取れた)方向(パイプのない方からパイプのある方へ)とは逆方向(パイプのある方からパイプのない方へ)からSiCリングを既存のトップガイドフレームへ嵌めようとしたのですが中々入らない…

10分くらい格闘したんですがそれでも入らず…
ちょっと頭にきて強引にフレームとSiCリングをペンチで挟み込んでも入らない…

まさかチタンフレームが変形したんでしかね…

まさかと思ってパイプのない方からパイプのある方で試したらすんなり入りました…

ガッデム!

もし嵌らなくて困った場合はSiCリングの方向と嵌める方向いろいろと試してみて下さい!

SiCリングをエポキシ樹脂で固定する

東邦産業の二液性エポキシ・コート<br />二液の混合比率が1:1なのでとても扱いやすい
東邦産業の二液性エポキシ・コート
二液の混合比率が1:1なのでとても扱いやすい

無事、既存のトップガイドフレームにSiCリングが嵌ったらエポキシ樹脂で固定します。
エポキシ樹脂は硬化に時間がかかり、たっぷり塗ってしまうとムラや液だれしてしまうので注意が必要です。
直したSiCリングに余計なエポキシがついてライントラブルとならないように下記のポイントに注意して塗布します。

ポイントはSiCリングとチタンフレームで出来た溝部分に爪楊枝など先が細いもので表面張力を使ってエポキシを浸透させるイメージで塗って下さい!
ポイントはSiCリングとチタンフレームで出来た溝部分に爪楊枝など先が細いもので表面張力を使ってエポキシを浸透させるイメージで塗って下さい!
エポキシを塗り終えた既存のトップガイド
エポキシを塗り終えた既存のトップガイド

エポキシが上手く塗れたら20℃以上の場所で24時間放置して完成です。
室温の低い場所だとエポキシの硬化に時間がかかるので注意して下さい。

SiCリング修理後の実釣

直したロッドで東京湾湾奥運河で実釣してみましたがウエイトの軽いバチ抜けルアーから30gオーバーのルアーをキャストしても問題なしでした!
この日は大物は釣れませんでしたが魚が掛かってもSiCリングは外れることはありませんでしたよ!

SiCリング修理後から約1年を経て

2019年3月にSiCリング修理してから2020年3月現在、約1年を経ました。
小さなシーバスから80オーバーのランカーシーバスまで約200匹ほどの釣果、バチ抜け用の軽いルアーから40g台のビッグベイトまで約数千キャストしましたが何のトラブルもなくSiCリングはしっかりとトップガイドに固定されています。
時に複雑に絡み合ったエアノットが出来たままキャストしたこともありましたがSiCリングは外れることはありませんでした。
リトリーブ時の違和感もないので改めて自分でトップガイドリング交換して良かったと思っています。

あると便利なグッズ紹介

まとめ

細かい作業が苦じゃない方でトップガイドリングが破損してしまった方はこの方法を試してみてはいかがでしょうか!